頭皮の傷痕はアートメイクでカバーできる?手術痕・けが痕を相談する前に知りたいこと

頭皮の傷痕はアートメイクでカバーできる?手術痕・けが痕を相談する前に知りたいこと

はじめに

頭皮に手術の痕やけがの跡があって、そこだけ髪が生えにくい。地肌が目立つ。髪型で隠そうにもうまく隠れてくれない。そんなお悩みを抱えていらっしゃる方がいます。

傷痕の場所によっては、普段はまったく気にならないのに、髪を短くしたとき、雨に濡れたとき、美容室で分け目を変えられたときに、ふと目に入ってしまう。その瞬間に急にその部分だけが気になりだしてくるというお悩みを、私たちはカウンセリングでよくお聞きします。

そうしたときに、「頭皮アートメイクでカバーできるのでしょうか」とご相談に来られる方がいらっしゃいます。

結論からお伝えすると、頭皮の傷痕は、状態によっては頭皮アートメイクで見え方をカバーする選択肢として検討できる場合があります。

ただ、頭皮アートメイクは、傷痕を消す治療ではありません。髪を生やす施術でもありません。傷痕の色、硬さ、盛り上がり、赤みやかゆみの有無によって、そもそも施術を検討できるかどうかが変わってきます。

まずは今の頭皮の状態を見せていただきながら、無理のない方法を一緒に考えていく。そこから始めていただきたいと思っています。

頭皮の傷痕は、髪型だけでは隠しきれないことがあります

頭皮の傷痕は、場所や大きさによって、見え方がずいぶん変わります。

髪を短くしたとき。髪が濡れたとき。分け目が変わったとき。美容室で頭頂部や後頭部を鏡に映されたとき。帽子を脱いだあと。照明の強い場所や、写真に写り込んだとき。普段は髪で隠れていても、髪の流れや角度が少し変わるだけで、傷痕部分の地肌が見えやすくなることがあります。

それに、手術の跡やけがの痕の部分は、周囲の頭皮と比べて色や質感が違って見えることがあります。ですから、髪の量だけの問題ではないのです。頭皮の色の差や、影の出方によって、より目立って感じられることもあります。

鏡で頭頂部や髪の状態を確認する男性

手術痕・けが痕で、髪が生えにくく見えるのはなぜでしょうか

手術やけがのあとに傷痕が残ると、その部分の皮膚は、周囲の頭皮とは違う状態になっていることがあります。

その背景には、いくつかの要素が重なっています。傷痕の部分にそもそも毛が少ないこと。周囲の毛流れと、傷跡部分の見え方が違うこと。傷痕の色が周りの頭皮より白く見えること。光が当たるとその部分だけ浮いて見えること。盛り上がりやへこみがあって影が出やすいこと。

つまり、傷跡の見え方は、毛量だけで決まるものではないのです。色、質感、凹凸、場所、そして髪型。これらが複雑に絡み合っています。

まず検討されることが多い、カバーの方法

頭皮の傷痕が気になったとき、いきなり頭皮アートメイクを考えていただく必要はありません。日常のなかで取り入れやすい方法から試される方も、たくさんいらっしゃいます。

・髪型や分け目を変える

傷痕の位置によっては、髪型や分け目を変えるだけで、ずいぶん目立ちにくくなることがあります。
ただ、毎日同じ方向に強く引っ張ったり、無理に隠そうとして髪を固定し続けたりすると、頭皮や髪に負担がかかることもあります。隠すための努力が、別の負担に変わってしまわないか。そこは気にかけていただきたいところです。

・ヘアパウダーやスプレーを使う

範囲が小さければ、ヘアパウダーやスプレーで一時的にカバーしやすいことがあります。
一方で、汗、雨、枕への色移り、そして毎日の手間。これらを負担に感じる方もいらっしゃいます。傷痕の場所によっては、そもそもご自分では塗りにくい、ということもあります。

・部分ウィッグやヘアピースを使う

範囲が広い場合や、すぐに見た目を変えたい場合には、部分ウィッグやヘアピースが合うこともあります。
装着した感じ、蒸れ、メンテナンス、費用、そして毎日使い続けられるかどうか。このあたりの感じ方は、本当に人それぞれです。

・頭皮アートメイクを検討する

頭皮アートメイクは、頭皮に細かく色素を入れることで、地肌や傷痕部分の見え方をカバーしていく方法です。
髪型やパウダーでは隠しにくい場合、傷痕部分の白さや透け感が気になる場合に、選択肢のひとつとしてご相談いただけます。
ただし、すべての傷痕に向いているわけではありません。

頭皮の傷跡を目立ちにくくするため髪型や分け目を整える男性

頭皮アートメイクにできること、できないこと

頭皮の傷痕についてご相談に来られた方に、私たちが最初にお話しするのは、できることとできないことを分けて考えていただきたい、ということです。

・できる可能性があること

頭皮アートメイクは、傷痕そのものをなくすものではありません。周囲の髪や頭皮の色に合わせて色素を入れることで、見え方をなじませていくことを目指します。
たとえば、傷痕部分の白さを目立ちにくくする。地肌だけが浮いて見える印象をやわらげる。周囲の毛量や色に合わせて、影のように見せる。髪を短くしたときの透け感をカバーする。人目が気になる場面での不安を、少しでも軽くする。こうした目的でご検討いただくことがあります。
あくまでも、見え方をカバーするための選択肢です。この前提は、いつも頭に置いておいていただけたらと思います。

・できないこと

一方で、頭皮アートメイクにできないこともあります。
傷痕を消すこと。傷痕そのものを治療すること。へこみや盛り上がりを平らにすること。髪を生やすこと。炎症やかゆみを治すこと。そして、どのような傷跡でも同じように仕上げること。これらはできません。
特に、傷痕の凹凸や硬さが強い場合は、色を入れても質感の違いが残ることがあります。
ですからカウンセリングでは、どこまでが頭皮アートメイクで対応できる範囲なのかを、必ず一緒に確認させていただきます。

傷痕の状態によって、施術できるかどうかは変わります

頭皮アートメイクを考えるうえで、何より大切になるのが、いまの傷痕の状態です。

術後の経過で傷痕に赤みが残っている。かゆみや痛みがある。湿疹や炎症がある。傷痕が盛り上がっている、あるいは硬くなっている。手術やけがをしてから、まだ日が浅い。ケロイド体質を指摘されたことがある。過去に傷が盛り上がりやすかった。アレルギー体質で不安がある。こうした場合は、すぐに施術を進めるのではなく、慎重に確認させていただく必要があります。

傷痕が治りきっていない段階や、炎症がある状態では、頭皮アートメイクを急いで検討しないほうがよいことがあります。また、ケロイド体質の方や、傷が盛り上がりやすい方は、針による刺激で皮膚の反応が強く出る可能性も考えられます。

「手術痕だから大丈夫だろう」「小さい傷痕だから問題ないはず」と、ご自身で判断されないでください。まずは、医師や看護師に頭皮の状態を実際に見てもらう。そこが出発点だと思っています。

頭皮の傷跡の状態を画像で確認しながら説明するカウンセリング風景

カウンセリングで、お聞きしていること

頭皮の傷痕に頭皮アートメイクを検討する場合、カウンセリングでは次のようなことを伺っています。

・傷痕ができた時期

手術やけがから、どのくらい時間が経っているか。これは大切な確認事項です。
まだ治りきっていない傷跡や、赤みやかゆみが続いている傷跡では、主治医からの許可をもらう場合やしばらく経過を見ていただく必要がある場合があります。

・傷痕の原因

手術の跡なのか、けがの跡なのか、やけどの跡なのか、あるいは過去の皮膚疾患によるものなのか。それによって、見え方も注意点も変わってくることがあります。
覚えている範囲でかまいませんので、傷痕ができた経緯をお聞かせいただけたらと思います。

・いまの症状

痛み、かゆみ、赤み、湿疹、かさぶた、フケ。こうした症状があるときは、必ずお伝えください。
症状がある場合は、頭皮アートメイクよりも先に、皮膚の状態を整えることを優先させていただくことがあります。

・普段の髪型

傷痕がどんな場面で見えてしまうのかは、髪型によってまるで変わります。
髪を下ろしているとき、結んだとき、短くしたとき、帽子をかぶるとき。日常のなかで気になる場面を教えていただけると、ご提案の幅が広がります。

・どの程度カバーしたいか

完全に見えなくすることを目指すのではなく、どの場面で、どの程度気になりにくくしたいのか。ここを整理していただくことが、実はとても大切です。

「美容室で見えるのが気になる」
「髪を短くしたときに目立つ」
「仕事中に人から見られるのが気になる」

このように、困っている場面を具体的にお話しいただけると、現実的な選択肢を一緒に考えやすくなります。

カバーで大切なのは、周囲の髪や頭皮とのなじみ方です

頭皮の傷痕をカバーするとき、私たちは傷痕の部分だけを見ているわけではありません。周囲の髪の色、毛量、毛流れ、そして頭皮の色。そのすべてとのなじみ方を確認していきます。

傷痕の部分に色を入れればよい、という単純な話ではないのです。

色が濃すぎれば、かえってその部分だけが浮いて見えてしまうことがあります。反対に薄すぎれば、カバーできている実感が持てないこともあります。ですから、最初から強く入れすぎるのではなく、状態を見ながら段階的に進めていくことを大切にしています。

それから、頭皮アートメイクは時間の経過とともに、少しずつ色の見え方が変わっていきます。将来的な退色やリタッチの可能性も含めて、カウンセリングの段階で確認しておいていただけると安心です。

頭皮の傷跡周囲の髪や頭皮の状態を確認するカウンセリング風景

その場で施術を決めていただく必要はありません

頭皮の傷痕は、薄毛のお悩みとは少し違うところがあります。

「ずっと気になっていたけれど、誰に相談すればいいのか分からなかった」
「美容室で見えるたびに、そのことばかり考えてしまう」
「小さい傷痕なのに、自分ではどうしても気になってしまう」

こうしたお気持ちを抱えて来られる方がいらっしゃいます。人に話すこと自体に、勇気が必要だったのではないかと思います。

カウンセリングは、その場で施術を決めるためだけの時間ではありません。いまの傷痕の状態を確認して、髪型なのか、パウダーなのか、部分ウィッグなのか、それとも頭皮アートメイクなのか。どの方法がいまの状態に合っているのかを、一緒に整理する時間です。

傷痕の状態によっては、施術を急ぐより、まず皮膚の状態を整えていただいたほうがよい場合もあります。別の方法を先に試していただいたほうがよいケースもあります。

あわてて決めていただく必要は、まったくありません。

まずは、傷痕の状態と、日常のなかでどんなふうに気になっているのか。そこを一緒に確認するところから、始めてみませんか。

まとめ|傷痕は、状態を見ながらカバー方法を考えていきましょう

頭皮の手術痕やけが跡は、場所や髪型によって、見え方が変わります。髪型やヘアパウダーで対応しやすい場合もあれば、毎日のカバーがだんだん負担になっていく場合もあります。

頭皮アートメイクは、傷痕そのものを消す治療ではありません。髪を生やす施術でもありません。ただ、傷痕の状態によっては、地肌や傷痕部分の見え方をカバーする選択肢として、ご相談いただける場合があります。

大切なのは、赤み、かゆみ、炎症、盛り上がり、硬さ。そうしたいまの頭皮の状態を確認したうえで検討することです。

スカルプアートメディカでは、傷痕の範囲や周囲の髪の状態、普段の髪型、生活のなかで気になる場面を伺いながら、頭皮アートメイクを検討できるかどうかを一緒に確かめていきます。

施術をその場で決めていただく必要はありません。まずは、頭皮の傷痕について気になっていることを、そのままお話しください。長く抱えてこられたことなら、なおさら、遠慮なく。

この記事の監修医師

佐上 徹

スカルプアートメディカ 院長

佐上 徹 Toru Sagami

医師 頭皮アートメイク専門

頭皮アートメイク(SMP)の安全基準策定に携わる。技術・安全・倫理の3観点から施術基準を整え、患者が安心して受けられる環境づくりに取り組む。

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本記事は上記医師が内容を確認・監修しています。掲載内容は一般的な情報提供であり、個別の診断・治療の代わりにはなりません。

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