はじめに
「頭皮アートメイクをすると、将来MRI検査が受けられなくなる?」
「色素に金属が入っていると、MRIでやけどすることがある?」
「脳のMRIを受けるときも大丈夫?」
頭皮アートメイクを検討している方から、実際によくいただく質問の一つがMRI検査についてです。
先に結論をお伝えすると、頭皮アートメイクをしていることだけを理由に、MRI検査が一律に受けられなくなるわけではありません。
ただし、アートメイクの色素には製品によって酸化鉄などの成分が多量に含まれることがあり、MRI検査中にまれに熱感や違和感などが報告されています。
そのため、MRI検査を受ける際は、頭皮アートメイクをしていることを必ず医師や診療放射線技師へ伝え、検査を行う医療機関の判断に従うことが大切です。
スカルプアートメディカでは、頭皮アートメイクに「FIXER THE BLACK」という色素を使用しています。当院で確認している資料では酸化鉄の含有量は0.9%で、成分を確認できるMSDS(安全データシート)も保管しています。
この記事では、頭皮アートメイクとMRIの関係、なぜ色素が問題になることがあるのか、当院で実際に使用している色素、MRI検査前に伝えておきたいことまで詳しく解説します。
結論|頭皮アートメイクがあってもMRI検査が一律に受けられなくなるわけではありません
「頭皮アートメイクをしたらMRIが受けられない」と心配される方がいますが、アートメイクがあること自体が、MRI検査の絶対的な禁忌になるわけではありません。
米国食品医薬品局(FDA)も、タトゥーや永久的なアートメイクがある方について、MRI検査時にまれに腫れや熱感、灼熱感などが報告されているものの、必要なMRI検査を避けることによる不利益の方が大きい場合があると説明しています。
日本でも、国立がん研究センター中央病院では、アートメイクがある方を「MRI検査ができない方」ではなく「事前に確認が必要な方」として案内しています。
理由として「発熱による火傷や変色の可能性がある」と説明されています。
つまり大切なのは、
• 頭皮アートメイクを隠さず申告する
• 使用した色素が分かれば伝える
• MRIを行う医療機関の判断に従う
• 検査中に違和感があればすぐ知らせる
ということです。
必要なMRI検査を、頭皮アートメイクがあるという理由だけで自己判断で中止したり延期したりする必要はありません。
なぜ頭皮アートメイクでMRI検査が心配されるの?
MRIは、強い磁場や電波を利用して体の内部を画像化する検査です。
頭皮アートメイクそのものが問題なのではなく、心配される理由は使用する色素の成分にあります。
アートメイク用の色素には、製品によって酸化鉄などが含まれていることがあります。
このような色素がMRIの磁場などと相互作用することで、まれに施術部位に熱感やピリピリとした違和感などが生じる可能性が指摘されています。
また、色素の種類や撮影する部位によっては、MRI画像に局所的な乱れ(アーチファクト)が生じる可能性もあります。
MRI検査中にやけどすることはある?
「アートメイクをしているとMRIでやけどする」という情報を見て、不安になる方もいるでしょう。
実際には、MRI検査中にタトゥーや永久的なアートメイクの部位で熱感、痛み、灼熱感などを感じた症例は報告されています。
一方で、このような反応は多く起こるものではありません。
永久的なアートメイクをした方を対象とした海外の調査では、MRI検査を受けた135人のうち2人に一時的な「軽いピリピリ感」「灼熱感」が報告されましたが、重篤な後遺症は確認されませんでした。
また、MRIとタトゥーに関する症例報告を検討した医学レビューでも、MRIに伴うタトゥー部位の症状はまれであるとされています。
ただし、「まれだから絶対に起こらない」という意味ではありません。
検査中に頭皮の熱感、痛み、ピリピリ感などを感じた場合は、すぐにMRI担当者へ知らせてください。
MRI画像が乱れることもある?
タトゥーや永久的なアートメイクに使用された色素によって、MRI画像にアーチファクトと呼ばれる画像の乱れが生じた報告があります。
特に過去の報告では、アイラインなど目の周囲の永久化粧による眼窩周辺の画像への影響が報告されています。
ただし、頭皮アートメイクだけを対象にした大規模なMRI研究はまだ限られています。
そのため、「頭皮だから画像には絶対に影響しない」と断定するのではなく、頭部MRIを含め、検査前に頭皮アートメイクをしていることを伝えておくことが重要です。
当院で使用している色素「FIXER THE BLACK」とMRIについて
MRIについて考えるときに大切なのは、「アートメイクをしているかどうか」だけではなく、実際にどのような色素を使用しているかを確認できることです。
スカルプアートメディカの頭皮アートメイクでは、「FIXER THE BLACK」という色素を使用しています。
当院で確認している資料では、次のとおりです。
• 色素に含まれる酸化鉄の含有量:0.9%以下
• 施術1回あたりの使用量:平均0.009g/100㎠ 程度(1回あたり)
• 色素の成分を確認できるMSDS(安全データシート)を保管
当院の院内資料では、「FIXER THE BLACK」を使用していること自体によってMRI検査が制限されるものではないとご案内しています。
ただし、ここで重要なのは、「酸化鉄が0.9%だからMRIで絶対に問題が起こらない」と判断することではありません。
MRI検査の可否は、撮影部位や検査条件、医療機関の安全管理基準なども含めて、MRIを実施する医療機関が最終的に判断します。
だからこそ当院では、使用している色素の情報を把握し、必要な場合に確認できるようにしています。
他院や昔の頭皮アートメイクで色素が分からない場合は?
「何年も前に別のところで受けたので、何の色素か分からない」
という方もいるでしょう。
色素が分からないからといって、自己判断で「MRIは受けられない」と決める必要はありません。
まずMRIを受ける医療機関へ、
「頭皮アートメイクをしていること」
「施術を受けた時期と場所」
「色素の種類が分からないこと」
を伝えてください。
施術を受けた医療機関に問い合わせられる場合は、使用した色素名や成分資料が残っているか確認してみるのも一つの方法です。
昔のアートメイクや他院施術で使用色素が不明な場合ほど、自己判断せずMRI担当者へ情報を伝えることが重要です。
頭以外のMRIでも頭皮アートメイクは申告した方がいい?
はい。腰や膝、腹部など、頭以外のMRI検査を受ける場合でも、頭皮アートメイクをしていることは事前に伝えてください。
MRI検査では、撮影する部位だけでなく、タトゥーやアートメイクの有無なども含めて事前に安全確認が行われます。FDAも、MRIを受ける際にはタトゥーや永久的なアートメイクがあることを放射線科医や診療放射線技師へ知らせるよう案内しています。
そのため、「腰のMRIだから頭皮アートメイクは関係ない」「膝の検査だから伝えなくてよい」と自己判断せず、問診時に申告してください。
通常、患者さん自身が色素の商品名や成分まで判断する必要はありません。
使用色素についてMRIを行う医療機関から確認を求められた場合には、施術を受けた医療機関へ問い合わせてください。
スカルプアートメディカでは、頭皮アートメイクに使用している「FIXER THE BLACK」の情報とMSDSを保管しています。必要な場合は当院へご相談ください。
MRI検査前に伝えておきたい4つのこと
頭皮アートメイクをしている方がMRI検査を受ける場合は、次の情報を伝えられるようにしておくとスムーズです。
1.頭皮アートメイクをしていること
MRIの問診票や事前確認で、アートメイク・タトゥーの有無を聞かれた場合は必ず申告してください。
質問されなかった場合でも、自分から伝えておくと安心です。
2.施術した場所
生え際、分け目、つむじ、頭頂部など、どの部分に頭皮アートメイクをしているかを伝えます。
3.施術を受けた時期
正確な日付が分からなくても、「○年前」「○か月前」など、分かる範囲で伝えてください。
4.使用した色素が分かれば伝える
当院で施術を受けた方は、頭皮アートメイクに「FIXER THE BLACK」を使用しています。
色素の詳細について医療機関から確認を求められた場合は、当院へご相談ください。
MRI検査中に熱感や違和感が出たらどうする?
MRI検査では、検査中に異常を感じたときにスタッフへ知らせるためのブザーなどを渡されることがあります。
頭皮アートメイクをしている部分に、
• 熱く感じる
• ピリピリする
• 痛みを感じる
• 普段とは違う違和感がある
といった症状が出た場合は、我慢せずにすぐMRI担当者へ知らせてください。
「せっかく検査を始めたから」と無理に我慢する必要はありません。
安全に検査を受けるためには、違和感を早めに伝えることが大切です。
MRI検査の予定がある場合、頭皮アートメイクは受けない方がいい?
将来MRI検査を受ける可能性があるという理由だけで、頭皮アートメイクを諦める必要はありません。
一方、すでに病気の検査や経過観察としてMRI検査が予定されている場合は、まず必要な検査を優先してください。
MRI検査の予定があることを頭皮アートメイクのカウンセリング時に伝え、検査を受ける医療機関にもアートメイクを検討していることを相談しておくとより安心です。
医学的に必要なMRI検査を、頭皮アートメイクのために自己判断で延期することは避けていただきたいと考えます。
CTやレントゲンも頭皮アートメイクに影響する?
MRIとCT、レントゲンは検査の仕組みが異なります。
MRIは強い磁場などを利用しますが、CTや一般的なレントゲン検査はX線を利用します。
そのため、アートメイクの色素とMRIで問題になる可能性がある現象を、異なる原理のCTやレントゲンに当てはめることはできません。
CTやレントゲンはアートメイクとは無関係に受けていただいて問題ありません。
ただし、検査について不安がある場合は、検査前に医療機関へ頭皮アートメイクをしていることを伝えて確認してください。
頭皮アートメイクとMRIに関するよくある質問
Q.頭皮アートメイクをするとMRI検査は受けられなくなりますか?
頭皮アートメイクをしていることだけを理由に、MRI検査が一律に受けられなくなるわけではありません。
ただし、検査前に必ず頭皮アートメイクをしていることを伝え、MRIを実施する医療機関の指示に従ってください。
Q.頭皮アートメイクはMRIでやけどすることがありますか?
永久的なアートメイクやタトゥーの部位で、MRI検査中に熱感や灼熱感などが生じた症例は報告されていますが、頻度は極めて低いとされています。
検査前の申告と、検査中に違和感があった場合の速やかな報告が重要です。
Q.スカルプアートメディカで使用している色素に酸化鉄は含まれていますか?
はい。
当院が頭皮アートメイクで使用している「FIXER THE BLACK」について、院内資料では酸化鉄の含有量は0.9%と記載されています。
当院ではMSDSも保管し、使用している色素の成分情報を確認できるようにしています。
Q.酸化鉄が入っているとMRIは受けられませんか?
酸化鉄が含まれていることだけで、MRIが一律に禁止されるわけではありません。
色素の成分だけでなく、撮影部位や検査条件などを含めてMRIを行う医療機関が判断します。
過去に施術を受けられた方で、問題があった方は現在のところ報告されておりません。
Q.頭のMRIでも受けられますか?
頭皮アートメイクがあるから頭部MRIが一律に受けられない、ということではありません。
ただし、必ず頭皮アートメイクをしていることを申告してください。
Q.他院で受けたため使用した色素が分かりません。どうすればいいですか?
色素が分からないことも含めて、MRIを受ける医療機関へ伝えてください。
可能であれば、施術を受けた医療機関へ問い合わせ、使用色素の名前や成分資料が残っているか確認してください。
Q.MRI検査中に頭皮が熱くなったらどうすればいいですか?
我慢せず、すぐにMRI担当者へ知らせてください。
検査中に使用する呼び出しブザーなどがある場合は、異常を感じた時点で使用してください。
まとめ|MRIへの不安だけで頭皮アートメイクを諦める必要はありません
「将来MRIが必要になったらどうしよう」
そう考えて、頭皮アートメイクを迷っている方もいらっしゃいます。
頭皮アートメイクをしているからといって、必要なMRI検査が一律に受けられなくなるわけではありません。
大切なのは、使用している色素について分かる状態にしておくこと、そしてMRI検査を受けるときに頭皮アートメイクをしていることを正しく伝えることです。
スカルプアートメディカでは、頭皮アートメイクに使用している色素「FIXER THE BLACK」の成分情報を確認し、MSDSも保管しています。
将来の検査について不安があるから施術を諦めるのではなく、「何を使用するのか」「MRIが必要になったら何を伝えればよいのか」まで確認したうえで、自分に合った選択をすることが大切です。
頭皮アートメイクについてだけでなく、将来のMRI検査や使用色素に不安がある方も、カウンセリング時にご相談ください。
参考資料
• 米国食品医薬品局(FDA)「Tattoos & Permanent Makeup: Fact Sheet」
• 国立がん研究センター中央病院「MRI検査」
• Tope WD, Shellock FG. Magnetic resonance imaging and permanent cosmetics (tattoos): survey of complications and adverse events. Journal of Magnetic Resonance Imaging. 2002.
• Kluger N, et al. Tattoo complications and magnetic resonance imaging: a comprehensive review of the literature. 2020.
• 新宿クレアクリニック院内資料「頭皮アートメイクとMRI検査について」
• FIXER THE BLACK Material Safety Data Sheet