分け目や生え際の地肌が気になり始めた方から、「髪を増やす治療以外に、見た目を整える方法はないのか」というご相談をいただきます。
頭皮アートメイクは、頭皮に極めて細かなドット状の色素を入れ、髪が残っている部分と地肌が透けて見える部分の見え方の差を小さくする医療アートメイクです。ヘアアートメイク、ヘアタトゥー、SMP(Scalp Micropigmentation)などの名称で紹介されることもあります。
髪を生やす施術ではありません。生え際周辺、分け目、つむじ、頭頂部、坊主・短髪などで地肌が目立つ部分に細かなドットを入れ、見た目の密度差を目立ちにくくすることを目的とします。
この記事では、頭皮アートメイクの仕組み、部位ごとの考え方、メリット・デメリット、薄毛治療との違い、施術の流れ、施術前後の注意点、回数・痛み・色持ちまで解説します。
結論|髪を増やす施術ではなく、地肌の透けを目立ちにくくする施術です
頭皮アートメイクで変えるのは、髪の本数ではなく、地肌と髪の見え方の差です。
髪の密度が低下して地肌が見える面積が増えると、髪が残っている部分との明暗差が大きくなります。そこで、地肌が明るく見えている部分に細かなドットを重ね、周囲とのコントラストを調整します。
生え際周辺、分け目、つむじ、頭頂部、坊主・短髪など、頭皮の状態や普段の髪型によって、必要な施術範囲や密度は変わります。
一方で、頭皮アートメイクによって髪が増えるわけでも、薄毛の進行が止まるわけでもありません。薄毛治療とは目的が異なります。まず「髪そのものを治療したいのか」「いま見えている地肌を目立ちにくくしたいのか」を整理してから検討してください。

頭皮アートメイクの仕組み|減った「影」をドットで補う
「分け目の地肌が気になる」というご相談で実際に頭皮を確認すると、髪が完全になくなっているというより、毛が細くなっている状態であることがよくあります。
太い毛には影があり、毛穴にも影があります。この細かな影の集まりが、頭皮全体の色を落ち着いて見せています。毛が細くなって本数が減ると影が減り、地肌の明るさがそのまま表に出てきます。
頭皮アートメイクは、この減った影を色素で補う施術です。毛を線で描くのではなく、ごく細かなドットを、部位や残っている毛に合わせて密度を調整しながら重ねていきます。一定の距離から見ると、細かなドットが周囲の毛穴や短い毛の影となじみ、地肌とのコントラストを目立ちにくくします。
一度に濃く仕上げることはせず、色素の定着と発色を見ながら段階的に密度を重ねます。
当院では、頭皮アートメイク専用色素「FIXER THE BLACK」を使用しています。
なお、日本では、針先に色素を付けて皮膚に毛髪などを描くアートメイクは医行為に該当します。「ヘアタトゥー」など別の名称で呼ばれていても、施術内容がアートメイクに該当する場合は同様です。
生え際・分け目・つむじ・坊主|部位によって施術の考え方は変わる
同じ「地肌が気になる」という悩みでも、生え際周辺、分け目、つむじ、坊主・短髪では、ドットを入れる範囲や密度の考え方が異なります。
| 部位 | 気になりやすいこと | 設計で見る点 |
|---|---|---|
| 生え際周辺 | 既存の毛の間から見える地肌、M字周辺の密度差 | いま残っている毛の位置、密度、将来の変化 |
| 分け目 | 髪を分けたときに見える地肌 | 周囲の毛量と頭皮との色差 |
| つむじ・頭頂部 | 上から見たときの地肌の広がり | 毛流れと周囲へつながる密度 |
| 坊主・短髪 | 短い毛がある部分と薄い部分の密度差 | 毛の色・太さ・維持する髪の長さ |
生え際周辺
生え際は顔に近く、正面から見えやすいため、少しの色や形の違いでも目立ちます。
当院では、毛のない額側に新しいラインを描き、生え際を下げるような人工的なヘアライン形成は行っていません。
色素は時間の経過とともに色調や輪郭が変化する可能性があります。ライン状に入れた色素がにじんだように見えたり、その後さらに生え際が後退したりすると、不自然な位置に色素だけが残って見える可能性があるためです。
生え際周辺で施術を検討する場合は、基本的にいま毛が残っている範囲の地肌の透けや密度差を確認し、周囲となじむ範囲で調整します。
分け目
分け目は、毛が残っていても密度が低下すると、地肌が線状に明るく見えやすい部位です。
髪を分けた状態で地肌の見え方を確認し、髪が残っている部分との色差を詰めていきます。髪を切らずに施術できる場合もあります。
つむじ・頭頂部
つむじは毛が放射状に分かれるため、もともと地肌が見えやすい場所です。毛量が低下すると、上から見たときに地肌の範囲がさらに広がって見えることがあります。
一部分だけを均一に濃くすると、そこに黒い円が乗ったように見えることがあります。毛流れに沿って中心から外側へ密度を落とし、周囲の髪へつなげていきます。
坊主・短髪
坊主や短髪では、長い髪で覆い隠すことができないぶん、短く刈った毛と薄い部分の密度差がそのまま見えます。
よく「全部剃ってから行くべきですか」と聞かれますが、その必要はありません。ふだんどおりバリカンで整えた状態でご来院ください。残っている毛の色と太さ、これから維持したい髪の長さに合わせて、ドットの大きさ・濃さ・密度を決めます。

頭皮アートメイクのメリット・デメリット
メリット
- 髪の本数を増やさずに、地肌と髪の見え方の差を調整できる
- 分け目やつむじなどでは、髪を切らずに施術できる場合がある
- 薄毛治療とは別の方法で、いま気になっている地肌の見え方を補える
施術した部分はその時点から見え方が変わりますが、色素の定着と発色はその後も変化します。そのため当院では1回で完成とせず、経過を見ながら複数回に分けて調整します。
デメリット・注意点
- 髪が生える施術ではなく、薄毛の進行を止めるものでもない
- 色素は徐々に退色するが、完全に消えるとは限らない
- 希望する仕上がりによって複数回の施術が必要になる
- 薄毛が進行すると、施術した部分と周囲との見え方のバランスが変わる可能性がある
- 色素に対するアレルギー反応や、施術後の赤みなどが生じる可能性がある
- 頭皮の状態や既往によっては施術できない場合がある
「いまの見え方」だけでなく、数年後の毛量や髪型の変化まで踏まえて施術範囲を決めることが大切です。
薄毛治療との違いは?併用はできる?
頭皮アートメイクと薄毛治療は、目的が異なります。どちらが優れているというものではなく、何を変えたいかによって選択肢が変わります。
| 薄毛治療 (内服・外用など) | 頭皮アートメイク | |
|---|---|---|
| 目的 | 毛髪そのものへの医学的な治療 | 地肌と髪の見え方の差を調整する |
| 髪の本数 | 治療内容や状態により変化が期待できる場合がある | 増えない |
| 見え方 | 治療の経過によって変化 | 施術した部分の地肌の見え方を調整 |
| その後 | 治療内容に応じて継続を検討 | 退色の状態を見てリタッチを検討 |
薄毛治療と頭皮アートメイクを併用できる場合もありますが、使用している薬、治療内容、頭皮の状態によって判断は異なります。
治療中の方はカウンセリング時に必ずお知らせください。治療薬の中止や変更を自己判断で行わず、処方した医師へ相談してください。
施術の流れ|カウンセリングから完成まで
頭皮アートメイクは、来院してすぐ色素を入れるのではなく、いまの頭皮と髪の状態、希望する仕上がりを伺うところから始まります。
1.カウンセリング
気になっている部位、ふだんの髪型、希望する仕上がり、薄毛治療の有無、使用している薬などを伺います。当院ではカウンセリングは無料で、相談だけのご予約も受け付けています。医師と看護師の両方が対応します。
頭皮アートメイクがご自身の悩みに合う方法なのかを確認する場でもあります。医師が施術の適応を判断し、適応でない場合はその旨をお伝えします。
2.頭皮と髪の状態を確認する
地肌がどの程度見えているか、残っている毛の太さ・密度・色、頭皮の色、施術範囲を確認します。
施術したい場所だけでなく、周囲の髪とのつながりまで確認します。
3.範囲・密度・針の設定を決める
残っている毛髪と頭皮のコントラストを確認しながら、ドットを入れる範囲や密度、針の太さや長さ、マシンのパワー設定(打ちだしの強さ)
などを細かく決めます。初回から必要以上に濃くは入れません。薄く入れたものは後から足せますが、濃く入れたものはすぐには戻せないためです。
4.ドット状に色素を入れる
施術時間は範囲や頭皮の状態によって異なります。痛みの感じ方にも個人差があります。
当院では基本的に麻酔を使用せず施術していますが、不安が強い場合は頭皮や体調を確認したうえで対応方法を検討します。
5.定着を見ながら密度を重ねる
1回ですべてを完成させる施術ではありません。当院では2〜3週間ほど間隔を空け、定着と発色を見てから必要な密度を足していきます。
施術回数は2〜3回が目安です。

施術前後の注意点|洗髪・カラー・運動などは事前にご相談ください
頭皮アートメイクでは、施術の前後に気をつけていただきたい点があります。旅行やヘアカラーの予定がある方は、施術時期そのものにも関わります。
施術前にお伝えいただきたいこと
- 治療中の病気や内服・外用薬
- 薬剤や色素などのアレルギー歴
- 頭皮の湿疹、炎症、傷など
- ヘアカラーやパーマの予定
- 頭皮に使用している薬、スプレー、パウダーなど
施術後の過ごし方
施術後は、洗髪、ヘアカラーやパーマ、汗を多くかく運動、サウナ、プール、紫外線、頭皮への摩擦などについて、一定期間注意が必要になる場合があります。
具体的な期間は施術内容や頭皮の状態によって異なるため、施術後は当院からお渡しする案内に従ってください。旅行、カラー、パーマ、運動などの予定がある場合は、カウンセリング時にお知らせいただくと、施術時期を組みやすくなります。
回数・痛み・色持ちの目安
| 項目 | 目安 |
|---|---|
| 施術回数 | 2〜3回 |
| 施術間隔 | 2〜3週間程度 |
| 痛み | 感じ方には個人差あり。当院では基本的に麻酔を使用せず施術 |
| 色の持続 | 2〜3年程度が目安(個人差あり) |
| リタッチ | 完成後1〜2年程度を目安に、退色の状態を見ながら検討 |
いずれも目安です。必要な回数や退色の進み方は、施術範囲、頭皮の状態、肌質、希望する濃さによって変わります。
色素は時間とともに徐々に薄くなりますが、完全に消えるとは限りません。将来まったく元の状態に戻ることを前提にデザインや施術範囲を決めることは避けてください。
スカルプアートメディカが施術で重視していること
薄い場所に色を入れればよい、というものではありません。周囲となじませるためには、残っている毛に色と密度を合わせることが重要です。
残っている毛にドットを合わせる
同じ黒髪でも、色味も太さも一人ひとり違います。ドットだけが濃すぎたり大きすぎたりすると、施術した場所が浮いて見えます。残っている毛と頭皮のコントラストを見ながら、色と大きさを合わせていきます。白髪が混ざっている方、髪色が明るい方は、そのぶん濃度を落として調整します。
施術部位だけでなく、頭全体のつながりを見る
一部分だけを見て施術すると、周囲との境目が目立つ場合があります。とくに坊主・短髪では、正面だけでなく頭頂部、側頭部、後頭部までのつながりを見ながら進めます。
一度で濃くせず、段階的に仕上げる
初回は控えめに入れ、定着と発色を見てから必要な密度を足していきます。定着と発色を確認しながら密度を重ねることで、周囲との色や密度の差を調整していきます。
いまの毛量に加えて、今後の薄毛の変化と、これから維持したい髪型まで踏まえて施術範囲を決めます。

症例|分け目・つむじ・生え際周辺・坊主
【症例①分け目・つむじ】

- 施術前に気になっていたこと:分け目からつむじわれぐせまでの地肌が目立って気になる。
- 施術範囲:50㎠
- 施術回数:3 回
- 希望した髪の長さ・スタイル:ロング・普段自然に分かれる分け目~つむじの地肌を目立たなくしたい。
- デザインで重視した点:分け目やつむじ周辺が不自然に濃くならないよう、周囲の毛量に合わせて濃淡を調整。
- 施術後の見え方:分け目からつむじ周辺の地肌の透け感が改善された。
【症例②生え際周辺】
- 施術前に気になっていたこと:生え際の透け感が気になっていた。
- 施術範囲:75㎠
- 施術回数:3回
- 希望した髪の長さ・スタイル:短髪・自然に地肌が目立たない様にしたい。
- デザインで重視した点:生え際のラインがハッキリ出過ぎないよう、ドットの密度を調整し、グラデーションをかける。
- 施術後の見え方:生え際の透け感が改善され、自然にボリューム感が出たような仕上がりに。
【症例③坊主・短髪】
- 施術前に気になっていたこと:生え際から頭頂部にかけての頭皮の目立ち具合
- 施術範囲:100㎠
- 施術回数:3回
- 希望した髪の長さ・スタイル:坊主
- デザインで重視した点:既存の毛がある所に自然に馴染むよう、密度を調整。生え際はライン状にならないようドットをまばらに入れ、濃淡を調整。
- 施術後の見え方:地肌の目立ち具合が改善され、自然で均一な毛量の坊主に見えるようになった。
頭皮アートメイクについてよくある質問
Q.頭皮アートメイクをすると髪は生えますか?
髪を生やす施術ではありません。頭皮に細かなドット状の色素を入れ、地肌と髪の見え方の差を目立ちにくくする施術です。
Q.ヘアタトゥーと頭皮アートメイクは同じですか?
「ヘアタトゥー」「ヘアアートメイク」「SMP」など、頭皮に色素を入れる施術には複数の呼び方があります。日本では、針で皮膚に色素を入れて毛髪などを描く行為がアートメイクに該当する場合、名称にかかわらず医行為となります。
Q.痛みはありますか?麻酔は使いますか?
痛みの感じ方には個人差があります。当院では基本的に麻酔を使用せず施術していますが、不安が強い場合は状態を確認したうえで対応方法を検討します。
Q.何回くらい通う必要がありますか?
2〜3回が目安です。2〜3週間程度の間隔を空け、色の定着と発色を見ながら密度を調整します。
Q.どのくらい持ちますか?
色の持続は2〜3年程度が目安ですが、個人差があります。完成後1〜2年程度を目安に、退色の状態を見ながらリタッチを検討します。
Q.髪が長くても受けられますか?女性でも受けられますか?
分け目やつむじなどでは、髪を切らずに施術できる場合があります。女性も施術対象ですが、頭皮の状態、毛量、施術範囲、希望する仕上がりを確認し、医師が適応を判断します。
Q.坊主にする場合、全部剃ってから行く必要がありますか?
その必要はありません。ふだんどおりバリカンで整えた状態でご来院ください。維持している髪の長さと残っている毛の状態に合わせて、針の長さ・マシンのパワー設定・密度を決めます。
Q.薄毛治療中でも受けられますか?
併用できる場合もありますが、使用している薬、治療内容、頭皮の状態によって判断は異なります。治療中の方はカウンセリング時にお知らせください。治療薬の中止・変更は自己判断せず、処方した医師へ相談してください。
まとめ
頭皮アートメイクは、生え際周辺、分け目、つむじ、頭頂部などに細かなドット状の色素を入れ、地肌と髪の見え方の差を目立ちにくくする医療アートメイクです。
髪が増えるわけでも、薄毛の進行が止まるわけでもありません。薄毛治療とは目的が異なります。
また、生え際については、いまの見え方に加えて将来の毛量変化まで踏まえる必要があります。当院では、毛のない額側に人工的なヘアラインを形成せず、既存の毛がある範囲を中心に地肌との密度差を調整します。
残っている毛量、頭皮の色、ふだんの髪型、将来維持したいスタイルによって、適した施術範囲は変わります。自分の悩みに合う方法か判断がつかない段階でも構いません。まずはいまの頭皮と髪の状態を確認したうえで検討してください。
自由診療に関する情報
頭皮アートメイクは公的医療保険が適用されない自由診療です。
施術名:頭皮アートメイク(FIXER)
施術内容:専用の機器と色素を用いて頭皮に細かなドット状に色素を入れ、地肌の透けや髪の密度差を目立ちにくくする施術です。
施術回数:頭皮の状態、施術範囲、希望する仕上がりによって異なります。当院では2〜3週間程度の間隔をあけ、定着と発色を見ながら複数回に分けて調整します。2〜3回が目安です。
費用:基本料金は施術範囲・回数により30,000円〜330,000円(税込)です。100㎠を超える施術では、施術回数に応じて1㎠あたり600〜800円(税込)の追加料金がかかります。(2026年9月時点・税込)
主なリスク・副作用:施術後に赤みなどが生じる場合があります。色素に対するアレルギー反応が起こる可能性があります。色素は時間の経過とともに退色しますが、完全に消えるとは限りません。頭皮の状態や既往によっては施術できない場合があります。